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[Si新書]知っているようで知らない鳥の話

細川 博昭:著者

恐るべき賢さと魅惑に満ちた体をもつ生きもの

人間よりすごい? 実は賢い? 恐竜の子孫たち
たくさんの人が行きかう街から、赤道直下の密林、南極の氷原まで、さまざまな場所に鳥はいます。
上空1万メートルを軽々と渡る鳥もいれば、体に毒をたくわえる鳥もいます。
一方で、「概念」を理解して人間と話す鳥、最大4000か所の位置を記憶する鳥、凝った構造物をつくる鳥も。
そんなすごい鳥の秘密と仕組み、身近にいる鳥の意外な事実をつめこんだのが本書です。
美しく楽しげで、少し怖い、鳥の奥深い世界をご案内します。

■目次:
序章 いつか見た鳥のすごさを、僕たちはまだ知らない
第1章 人間に比肩する能力
第2章 魅惑に満ちた鳥の体
第3章 身近な鳥も秘密を隠す
第4章 体の特殊な部分、特別な能力
第5章 興味深い鳥の行動や習性

定価:1,100円(本体1,000円+10%税)

書籍情報

  • 発売日:2017年3月16日(木)
  • ISBN:978-4-7973-8920-3
  • サイズ:A5/1色
  • ページ数:192
  • 付録:-
オウムも道具をつくる

ある実験で、シロビタイムジオウムは、「ピンを抜き、ネジを回し、ボルトを抜き取った末に輪を回転させて横向きにする」という一連の行動をすることで、実験装置の中に置かれたエサを取り出して食べるという課題をクリアしてみせました。自分1羽でそれを考えて実行することももちろん可能ですが、だれかがするのを見て、それを「模倣」する方がずっと簡単です。その相手が仲間の鳥でも人間でも、このオウムは簡単に学習して、より短時間で課題をクリアできるようになります。

カケスの脳には「地図アプリ」がある

カケスは、最大4千か所にものぼる隠し場所を、正確に記憶します。どこに隠したか、忘れることはめったにありません。それはまさに、どこにドングリをしまったか、きっちりマークされた「地図アプリ」を脳の中にもっているようなものです。隠し場所の記憶はいつでも引き出せますし、どこのものを食べて、どこに食べ物が残っているのかも、すべて明確に脳内地図にプロットされています。そうした完璧な記憶力を人間はもちません。

ヨウムは人間の概念を理解する

大型のインコであるヨウムは、気性も穏やかで、好奇心も強く、安心できる相手と認識した人間を深く信頼するようにもなります。この鳥、ヨウムに、多くの「もの」の名称を人間の言葉、発音のままに記憶させ、さらに数字や色などの概念も理解させることで、人間の言葉による直接コミュニケーションが可能であることが証明されています。

ヒマラヤを越えてゆくアネハヅル

迷鳥としてまれに日本にも飛来するアネハヅルは、インドとユーラシア中部(モンゴルなど)のあいだを季節移動します。ヒマラヤ山脈ができる以前から、アネハヅルは現在に近いルートで「渡り」をしていて、ヒマラヤの造山運動の影響によって山脈が成長するにつれて、どんどん高い空を飛ぶようになったのではないかと考えられています。

ミルクで子育てをする鳥たち

哺 乳類の母乳に比べて、ピジョンミルクには、脂肪分とタンパク質が多く含まれています。ハトはこのミルクをヒナに与えて子育てをします。ミルク を つくることができるのはメスだけでなく、つがいの相手のオスも可能であり、両親からミルクをたっぷりもらうことで、ヒナはあっという間に大きくなります。

孵化するタイミングを揃えて生まれてくる

同時に抱卵に入ったとしても、十~十数個の卵がぴったり同じ時刻に孵化をするとは限りません。カモ類の抱卵期間は28日~29日ほど。それだけの期間の抱卵の場合、ほかの鳥であれば半日から1日ほど孵化にずれが出てくることもふつうです。しかし、カモの場合、±1時間ほどの幅という、測ったようなぴったりの時間で卵から出てきます。親からすれば、とてもありがたいタイミングですが、もちろんそれにも理由があります。

著者紹介

細川博昭(ほそかわ ひろあき)
作家、サイエンス・ライター。鳥を中心に、歴史と科学の両面から人間と動物の関係をルポルタージュするほか、先端の科学・技術を紹介する記事も執筆。おもな著作に、サイエンス・アイ新書『教養として知っておくべき20の科学理論』『マンガでわかるインコの気持ち』『身近な鳥のふしぎ』『鳥の脳力を探る』(SBクリエイティブ)、『鳥を識る』(春秋社)、『インコのひみつ』(イースト・プレス)、『インコの謎』『インコの心理がわかる本』(誠文堂新光社)などがある。日本鳥学会、ヒトと動物の関係学会、ほか所属。

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