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塹壕線を打開するために生まれたのが戦車であり、その運用方法が「機動の理論」です。本書では、陸上自衛隊で第71戦車連隊長、陸将補を務めた著者が、豊富な図版やイラスト、写真を用いて「機動の理論」の本質を解説します。
第一次大戦では、連合軍もドイツ軍も正面突撃に固執して膨大な死傷者を出し、塹壕線が長期に及びました。これを打開するために生まれたのが戦車であり、その運用方法が「機動の理論」です。機動の理論は英陸軍将校J.F.C.フラーが生み出し、第二次世界大戦のドイツ軍、ソ連軍が確立し、イスラエル軍、米陸軍、米海兵隊が発展させ、現代に受け継がれています。本書では、陸上自衛隊で第71戦車連隊長、陸将補を務めた著者が、豊富な図版やイラスト、写真を用いて「機動の理論」の本質を解説します。
■目次:
第1章 Plan 1919
第2章 幻の野外要務令
第3章 実戦へ適用された機動戦理論
第4章 現代に生きる機動戦理論
第5章 「戦いの原則」の創始者

①戦車と対戦車システム
対戦車壕と地雷原で敵戦車を停止させ、これに対戦車火器を指向すると、極めて効果的な対戦車戦闘が可能となる

②機動防御のイメージ
三角形a、b、cで突角を形成しているとすれば、敵dはa‐b、またはc‐b、あるいはbから攻撃できる。敵がa‐bから攻撃すれば、敵の左側面は図のようにb‐c方向から(YとZに)打撃される(青い矢印)。c‐bから攻撃すればa‐b方向から(XとYZに)、bから攻撃すればa‐bおよびc‐bから(XとYとZに)同様に打撃される。このような考え方は、今日の機動防御の思想に通底するものがある

③ドイツ軍の北フランス侵攻
グデーリアンの機甲軍団は、ドーヴァー海峡に向かって猛進、英仏軍の後方連絡線を完璧に分断し破壊した

④ソ連軍の満州侵攻(1945年8月)
作戦レベルにおける接敵行軍(movement to contact)の典型例。各突進縦隊は無停止攻撃で突進を継続した

⑤マサダの砦
イスラエルの死海南西岸近くにある岩山要塞。紀元66年にユダヤのゼロテ派がローマ帝国占領軍から奪回し、2年後に再びローマ帝国軍の手に落ちた。陥落の際、砦に立てこもる老若男女1,000人は降伏を潔しとせず、全員が玉砕。世界遺産に指定されている。IDFに入隊する兵士は、マサダの砦で宣誓式を行い、祖国に忠誠を誓う

⑥3タイプの旅団戦闘チーム
3タイプのBCTは、21世紀の複雑で混とんとした情勢に対応できる機動性と柔軟性を持っている。フラーの機動戦理論は戦場に限定した狭義のものだったが、BCTは戦術機動、作戦機動、戦略機動が可能で、グローバルな機動戦理論への進化といえる
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