地震はなぜ起こるのか

軽い大陸プレートの下に、重い海洋プレートが沈み込むとき、大陸プレートの端が引っ張られて大きくたわみます。海洋プレートは休みなく沈み続けるので、たわみはどんどん大きくなります。そして、このたわみに耐えきれなくなったとき、大陸プレートは大きく弾かれてしまいます。このときに、マグニチュード8ほどの巨大地震が発生するのです。これが東日本大震災をもたらした地震のメカニズムです。
断層と地震の関係

断層は、ほぼ日本列島全体で存在しないところはありません。断層の中には、過去にくり返し地震を起こした記録があり、これからも起こしそうな断層があります。それを、活きている断層という意味から活断層と呼んでいます。
火山とマグマのしくみ

火山というと富士山や箱根、桜島などの盛り上がった山をイメージする人が多いと思います。しかし、地学的には、火山とはマグマが噴出することによって作られた地形すべてをいうので、低い丘や広い台地のようなものまで、いろいろな形のものを含みます。マグマとはマントル(岩石)が溶けて液体状になったもので、800~1300℃の高温状態になっています。マントルは地中では、通常高圧のため溶けることはありませんが、条件によっては溶けてマグマになります。
地球内部には何があるか

地球の中心にある核は、鉄とニッケルの合金からできています。鉄は核(内核と外核)のおよそ8割を占め、地球全体の重量では3割が鉄です。まさに地球は「鉄の惑星」といってもよいほどです。
過去は未来を解く鍵

過去の現象を解析することで、確度の高い将来予測ができることから、地球科学には「過去は未来を解く鍵」というフレーズがあります。9世紀の事例と21世紀を比較してみると、2011年に発生した東日本大震災の9年後は関東中央圏で直下型地震が起こり、さらに9年後の2029年に南海トラフ巨大地震が起こる可能性があるのです。もちろん、この計算は単純に年を足したもので、そのとおりに地震が起きるわけではありません。しかし、9世紀の記録を「過去は未来を解く鍵」として考えると、予断を許さぬ状況にあることも理解していただけるでしょう。
著者は地球科学の重鎮

鎌田浩毅(かまた ひろき 京都大学大学院人間・環境学研究科教授。理学博士。専門は地球科学・火山学・科学コミュニケーション。京大の講義は毎年数百人を集める人気で教養科目1位の評価。テレビ・雑誌・新聞で科学を明快に解説する「科学の伝道師」