
①中学・高校の6年間勉強したのに、なぜ英顔が話せないのか。それは接する時間(学習時間)に原因がある。英語母語話者は、35,040時間かけて英語(母語)を習得する。これに対し、日本人が中学・高校で映画おを学習する時間は多くても3,065時間。英語母語話者に比べて、1/10以下の時間しかかけていないのである。

音声会話では「理解」「概念化」「発話」という3つのプロセスを同時並行で処理する。日本語話者は、母語(日本語)であれば、意識せずに行える。しかし、外国語(例えば英語)であれば、同時並行処理は難しくなる。したがって、これら3つのプロセスの同時並行処理速度を上げ、自動化することが重要である。

外国語習得の4本の柱は「インプット処理」「プラクティス」「アウトプット産出」「モニタリング」である。これら4つのポイントを支え、学習を促進するのがシャドーイングのトレーニングである。

メタ認知とは「自分の行動・考え方などを客観的な眼から見て認識する活動」である。言い換えると、学習や処理をしている自分自身の認知の状態を、第三者的に把握しようとするさらに上位の認知システムにあたる。外国語を学習する際にも、自らの外国語の理解・習得のプロセスを把握して、うまくいっているかいっていないか自身で評価することは重要である。うまくいっていないときには、学習のやり方を調整したり、変更したりすることが極めて大切である。

できる限りインプット音声に集中してシャドーイングすることが重要である。単語や文の意味がわからなかったり、文や文章の構造がすぐには把握できないものがあっても、それにあまりこだわりすぎない。インプット音声そのものを楽しみながら復唱に集中することが肝要である。やがてシャドーイングが少しずつ楽になって音声を正確に追いかけられるようになると、余裕ができて自然に単語や文の意味内容も頭に入ってくる。

シャドーイングトレーニングを積むと、まずインプット音声を正しく復唱する能力が発達する。そうすると、この復唱能力に引っ張られるかたちで学習者の発音速度が高速化する。復唱能力や発音の高速化により、インプット音声の「模倣・再現」能力が鍛えられる。これにより、音声の知覚能力が向上するため、最終的にリスニング能力が引き上げられるということがこれまでの研究で明らかになっている。