何気なく立ち寄ったガソリンスタンドから、その悲しい恋の物語は動き出す。日常のありふれた風景の中で、好きな人と一緒に過ごせる喜びを、噛みしめずにはいられない。「第1回モバゲー小説大賞」特別賞受賞の、心温まるラブストーリー。

矢野裕紀はあるクリスマスイヴの日、給油しに行った近所のガソリンスタンドで、小さな体で元気に働く店員、香取由美子と出会い、やがて恋に落ちる。自分の気持ちに嘘をつけなくなった矢野は告白を試みるが、由美子には彼氏がおり、あっさりと振られてしまう。

一方、由美子はある難病を抱えており、「死」か「手術して聴力を失う」かの選択に迫られていた。バンドのボーカルをしていた由美子は、最後まで迷うも、手術を選択。しかし、結局それが原因で彼氏に振られてしまう。話を聞き、かける言葉も見つからない矢野は、思わず由美子を遊園地に誘う。

それから数回のデート…のようなものを重ね、やがて2人は晴れて恋人となり、普通の恋人同士のように、幸せな日々を送る。しかし、そんな2人の恋人期間は、由美子の手術までの、わずかな時間にすぎなかった…。

生きること、笑うこと、恋すること、出会うこと…。日常にある当たり前の幸せに気づかせてくれる、実話を基にした心温まるラブストーリー。

プロローグ/出会い/芽生え/突然の悲しみ/後悔/見えない気持ち/ターニングポイント/歌姫/別れの朝/ギミアチャンス/再出発/フォトグラフ/ゼロ/約束の日/昇る月、沈む太陽/告白/隠されていた恋/デビュー/想い/決意/予期せぬ届けもの/小さな嘘/父の思い/守りたいもの/運命の言葉/流星への美しい願い/不思議な繋がり/私の勇気/愛してる/神様に届いた祈り/エピローグ～君がいない場所で～