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電車を運転する技術

西上いつき:著者

「鉄道世界一」は運転士の技術にあった

安全で安定した鉄道の輸送は、言わずもがな「運転士の技術」によって支えられています。 運転士を仮想体験できる有名なゲームもありますが、本書では、ゲームでは語れないその「リアル」に迫ります。
世界随一の鉄道利用国、日本。毎日定刻に電車が到着し、皆が当たり前のように利用していますが、そんな安全で安定した鉄道の輸送は、言わずもがな「運転士の技術」によって支えられています。 しかし、多くの人々は普段どのように運転が行われているかをご存じないでしょう。ガラスで仕切られた運転台のその先は、果たしてどんな世界なのか……運転士を仮想体験できる有名なゲームもありますが、本書では、ゲームでは語れないその「リアル」に迫ります。

■第1章 「電車」はどうやって運転するのか?

1-01 「電車」は鉄道のなかでいちばん身近な存在

1-02 運転士が「運転台」に乗り込む前にすること

1-03 特急向け・各駅停車向けの車両の性能の違いとは?

1-04 車輪を動かす「主電動機」「制御器」の中身

1-05 「最高速度」と一口に言っても、いろいろある

1-06 条件によって決められる「制限速度」

1-07 汽笛を鳴らすテクニック

1-08 「惰行」こそが電車の省エネ運転させるキモ

1-09 いろいろな種類がある「地上信号機」の意味

1-10 単線ならではのアナログな閉そく方式

1-11 危険がいっぱいの踏切で安全を守る装置

1-12 車輪が空回りする「空転」、列車が滑ってしまう「滑走」

1-13 電車のブレーキはさまざまで、ハンドルの仕組みもいろいろ

1-14 駅で安全・安心・快適に停車するための技術

1-15 停止位置目標(停目)でピタリと停止する技術

1-16 停車することが難しい「運転士泣かせ」の駅がある

column01 速度メーターを見ずに「今、何km/h」ってわかる?

 

■第2章 運転士の勤務のリアル

2-01 運転士はいくつもの部署にサポートされている

2-02 運転士が乗務前に準備しなければならないことは多い

2-03 運転士が必ず持って運転台に乗り込むものは何か?

2-04 一人前の運転士になるまでの道のりは長く、険しい

2-05 強いきずなで結ばれる「教導運転士」と「運転士見習」

2-06 運転士は夜勤もある不規則な勤務なので体力勝負

2-07 朝一番の出庫点検では電車の何を確認するのか?

2-08 孤独で過酷な「眠気との戦い」に勝つ

2-09 運転士は大事な業務の一環として体調を管理する

column02 運転士が思わず飛び起きる「悪夢」とは?

 

■第3章 電車を「上手」に運転するための技術

3-01 「定時運転」は複雑で繊細なシステムの上でこそ成り立つ

3-02 電車は急に止まれない!?こんなにかかるブレーキ距離

3-03 「運転曲線」は理想的な運転モデル

3-04 起動・加速時の「乗り心地」をよくする運転技術

3-05 乗り心地を最も左右するブレーキングテクニックの極意

3-06 ワンマン運転は乗降・安全確認の負担が大きい

3-07 運転士はどうやって遅延を回復しているのか?

3-08 省エネで電車をエコに走らせる「経済運転」の考え方

3-09 「ダイヤグラム」を見れば、運行が見渡せる

3-10 同じ車種でも個体差があり、検査後はクセが大きく変わることも

column03 なぜ運転士の後ろに「カーテン」があるのか?

 

■第4章 電車を「安全」に運転するための技術

4-01 現代の安全の礎をつくることとなった「三河島事故」

4-02 二重事故を防ぐ「列車防護無線装置」

4-03 ミスが6分の1になった実験結果もある「指差称呼」

4-04 最終手段、「非常ブレーキ」を使うための技術

4-05 「もしも」のための、電車を安全に停車させる仕組み

4-06 非常ブレーキの投入には「勇気」がいる理由

4-07 運転士が「ルーティン」を守ることには意味がある

4-08 ATS(自動列車停止装置)とは?

4-09 ATC(自動列車制御装置)とは?

4-10 ATO(自動列車運転装置)とは?

column04 運転士と車掌は、どちらが「偉い」?

 

■第5章 こんなときどうする? 状況別の運転技術

5-01 「事故」や「トラブル」が発生したら?

5-02 「地震」や「悪天候」のときはどうやって運転する?

5-03 「列車火災」「沿線火災」「停電」が発生したらどうする?

5-04 「普通」「急行」「特急」「回送」で運転はどう違う?

5-05 雨天時は「空転」「滑走」を避けるため慎重に運転する

5-06 降雪時は雪でブレーキが効かなくなることもある

5-07 ラッシュ時の運転は運転士も勝負時

5-08 早朝の「始発列車」は運転時に特有の注意事項がある

5-09 「金曜日の深夜」運転で注意しなければならないこと

5-10 猛暑日は暑さでレールが本当に歪んでしまう!?

column05 「構内運転士」って知っていますか?

 

■第6章 電気機関車、新幹線、蒸気機関車、地下鉄の運転

6-01 後ろから押されるような「電気機関車」の運転

6-02 「新幹線」の運転はブレーキハンドルが左、マスコンが右

6-03 機関士の腕と体力が問われる「蒸気機関車」の運転

6-04 気が休まらない「地下鉄」の運転は、睡魔との戦いも過酷

column06 運転士という「職業」はなくなってしまうのか?

定価:1,430円(本体1,300円+10%税)

書籍情報

  • 発売日:2020年8月19日(水)
  • ISBN:978-4-8156-0717-3
  • サイズ:46判
  • ページ数:240
  • 付録:-

名古屋鉄道株式会社で運転士を勤めた西上いつき氏が、運転台の「舞台裏」を、余すことなく教えてくれます。

踏切は事故が発生しやすい場所です。運転士はどのように未然に事故を防ぐ運転をしているのでしょうか?

停止位置目標が見にくい曲がった駅は、停車が難しい駅の一つです。そのほかにも停車が難しい駅をご紹介します。

運転士は、運行前の電車に乗る場合、事前にいろいろなチェックを行います。どんなチェックをするのでしょうか?

地方などでは「ワンマン」の車両もあります。ワンマンには「ワンマンならでは」の運転の難しさがあります。

運転士は「定時運転」にこだわります。「どうやって定時運転を守るのか」――その磨き抜かれたテクニックに迫ります。

危険を知らせる「発報信号」を受信すると、「列車防護無線装置」が作動して列車を止めます。

もし、高速運転しているときに運転士が気を失ったら大変です。鉄道にはそんな緊急事態でも、列車を安全に止める装置が用意されています。

「雨降り3本」という言い回しがあります。「普段ブレーキしている箇所よりも、鉄柱で3本分早く開始するほうが良い」という意味です。それぐらい雨の日の運転は慎重さが求められます。

著者紹介

著者・西上いつき

大阪府出身。関西大学商学部卒業後、名古屋鉄道株式会社に入社し運転士・指令員などを経験。同社を退職後、シンガポールの外資系企業にて国際ビジネス経験を身につける。その後、経営企画部門等を経て、2019年にIY Railroad Consultingを設立。現在は東京を拠点として、コンサルティング、業界セミナー、海外向け事業等を行う。また、鉄道アナリストとして『東洋経済オンライン』『ダイヤモンドオンライン』『乗りものニュース』等にて記事を執筆中。東京交通短期大学 特別講師。

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