[Si新書]ガラパゴスのふしぎ
ゾウガメが1千キロの海を越えた方法は?なぜガラパゴスウミイグアナは海に潜るのか?
1978年に世界自然遺産第1号に指定されたガラパゴス諸島には、独特な自然環境、魅力的な生物など、世界の科学者たちの興味を集める自然があふれています。このガラパゴス諸島は、チャールズ・ダーウィンに進化論着想のヒントを与えたことでも有名ですが、実はダーウィンはガラパゴスに1か月余りしか滞在していないことや、進化論の着想のきっかけとなった鳥が、“フィンチ”ではなく“マネシツグミ”であることなどはあまり知られていません。
本書は、ダーウィンのガラパゴスでの足取り、進化論誕生の秘話とともに、ガラパゴス諸島が世界遺産第1号に選ばれた理由や、ゾウガメ、イグアナ、フィンチ、スカレシアなどの動植物がかかえる問題(危機遺産の理由)など、ガラパゴスの過去・現在・未来を網羅し、豊富な写真とともに、わかりやすく解説した一冊です。
【目次】
第1章 進化論とガラパゴス
1 青年ダーウィン、ビーグル号に乗る
2 ダーウィンが見たガラパゴス
3 進化論着想のきっかけはマネシツグミだった
4 『種の起源』の発表?「進化論」と進化の原動力
5 現代に息づくダーウィンの理論
第2章 ユニークな生態系
1 ガラパゴスって、どんなところ?
2 ガラパゴス諸島は溶岩でできている
3 今なお続く火山活動?増え続ける諸島の陸地
4 意外と涼しい赤道直下?海流が気候に影響する
5 生命の源・豊穰の海?周辺海域の特徴と区分
6 海辺と陸の生態系に影響するエルニーニョとラニーニャ
7 固有種率で見るガラパゴス生態系の特徴
8 標高と降水量と植物の密接な関係
9 海洋島─大陸と一度も陸続きになったことのない島々
10 ゾウガメはガラパゴスのウシ? 海洋島が生んだ独自の生態系
11 どこが違う? ガラパゴスとハワイ、小笠原
第3章 不思議な生き物たち
1 生物はどこから、どうやってガラパゴスへ来たのか
2 警戒心のない生き物たち?捕食動物の不在
3 ガラパゴスのおもな生き物?ひと目でわかる! 動物図鑑26
4 ガラパゴスゾウガメ?諸島の名になった代表的生物
5 ガラパゴスリクイグアナ?絶滅危機から回復
6 ガラパゴスウミイグアナ?世界で唯一海に潜るイグアナ
7 ダーウィンフィンチ?食物に応じてくちばしが変化
8 ガラパゴスマネシツグミ?進化論のきっかけとなった鳥
9 カツオドリ?餌場で棲み分ける3種
10 グンカンドリ?赤いのど袋で求愛
11 ガラパゴスアホウドリ?諸島内最大の鳥
12 ガラパゴスペンギン?赤道直下に生息できる理由
13 ガラパゴスコバネウ?世界で唯一飛べないウ
14 アシカとオットセイ?北半球と南半球から来た海獣
15 スカレシア?木になったキク科の植物
16 ウチワサボテン?ゾウガメやイグアナと共進化
第4章 ガラパゴスの保全科学最前線
1 世界自然遺産第1号から危機遺産リストへ
2 ガラパゴスの最大の脅威、外来種とその対策
3 ゾウガメを救え!?その1 受難の歴史
4 ゾウガメを救え!?その2 1頭の生き残りと遺伝子研究
5 外来植物の駆除と植生の復元
6 陸の生態系とてんとう虫
7 海の生態系の脅威、違法漁業
8 ガラパゴスの病原微生物
9 子どもたちがガラパゴを守る
10 ネイティブで庭づくり?外来種対策と生態系保全
11 ガラパゴス流エコツーリズムは管理型観光
■著者紹介
世界遺産第1号の地、ガラパゴス諸島本来の自然環境を回復・維持するための活動を支援する非営利団体。国内でガラパゴスに関わる活動をしている有志が集まり、2005年10月に設立。現地のチャールズ・ダーウィン財団と相互協力協定を結ぶ日本国内唯一の団体として、生物多様性保全、外来種駆除、環境教育など、現地のさまざまなプロジェクトを支えている。また、日本国内においても、現地の最新情報を発信するなど、国内外問わず幅広い活動を行っている。
http://www.j-galapagos.org/